各装置間でシリアル通信を行う場合、とりあえず通信を行えれば良いのであれば、送信・受信・接地の3本の線があれば実現できます。
ただ、3本だけでは細かな通信制御を行うことができません。

例えば、通信の準備が整ったら、接続先の装置に「こちらは通信準備ができています」といったことを通知してやるなどして、互いに協調を図ることができれば、データ通信の信頼度が高まります。

そのようなことを、信号線(制御線)を用いて行うことができます。

RS-232Cに対応する日本の規格であるJIS X 5101によると、信号線は37種類定義されています。
ただ、Dサブ25ピンの場合は25本しか線はありませんし、Dサブ9ピンに至っては9本しかなく、37種類全ての信号線を割り当てるのは物理的に不可能です。
むしろ、37種類も必要になることはありませんし、信号線の数が増えれば増える程、制御が複雑になってしまいます。

そのため、いつしか使用する信号線は限られていきました。
その信号線を下表に示します。

ピン
番号
回路名称 信号の方向
(DTE-DCE)
信号 概要
1 接地(アース) FG 保安用(感電防止)アース
2 送信データ TxD DTEからの送信データ用
3 受信データ RxD 相手側からの受信データ
4 送信要求 RTS DCEの送信状態制御
5 送信可 CTS DCEの送信可能状態
6 データセット・レディ DSR DCEの動作可能状態
7 信号用接地 GND 各相互接続回路の基準電位
8 データ・チャネル受信キャリア検出 DCD 受信信号の状態
20 データ端末レディ DTR DTEの動作可能状態
22 被呼表示 RI DCEが着呼信号を受信しているかどうか

信号線DTR(データ端末レディ)は、DTEが稼働状態であることを示します。
通常、DTRをオンにすることにより、DCEの稼働要求とします。

DTRをオフにすると、DCEに転送されていたデータの送信が完了した後、通信回線は切断されます。

DSRはDCEの稼働状態を示します。
DTRがオンになったことを契機に、DCEが通信回線を開いたらDSRがオンになります。

RTSはDCEに対して、データの通信準備を要求する信号です。
RTSがオンになると、DCEはキャリア(送信データを通信回線にのせるための搬送波)を通信回線へ送出します。
RTSは少なくともDCEへデータを送信している間はオン状態を保持しなければなりません。

CTSはDCEがデータ送信可能状態であることを示します。
RTSがオンになったことを契機に、通信回線へ送出したキャリアが安定した後、CTSがオンになります。

DCDはDCEにおいて通信回線を通じてデータ受信のためのキャリアが送出されたタイミングでオンになります。
DCDは相手側のDCEが送信可能かどうかを確認するために使われます。

RIはDCEが通信回線から呼び出し(着呼信号)を受けたときにオンとなります。
つまり、モデム内蔵電話機やFAXなどにおいて、外線から呼び出しを受けたとき(ベルが鳴ったとき)にRIがオンになります。